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■自殺者たちの死後3
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■妻に自殺をせまる亡夫
次は『迷える霊との対話』から紹介します。前のページで自殺をそそのかす先祖霊の事例を見ましたが、これから紹介する例もそれに似ています。
この本の著者で精神科医のC・A・ウィックランド博士は、妻で霊媒のウィックランド夫人と共に三十五年にわたり“除霊による精神病治療”に携わってこられ、その成果の数々をその著書に収めています。本書では憑依現象を原因とする様々な精神病の様子と、精神病患者が憑依霊を排除したことで体調を回復していく様子、そしてその憑依霊と博士との問答、さらに憑依霊が改心して霊界へ旅立っていく(成仏していく)様子などが語られています。
このウィックランド夫妻にはF・W夫人という知人がいました。彼女自身は霊的な事柄には理解があったのですが、彼女の夫のほうは徹底的な唯物主義者で、「死はすべての終わりだ」と信じ込んでいました。相反する思想の持ち主同士でしたが、夫婦仲はとてもよい状態でした。しかし皮肉なことに、それが次のような問題を起こしてしまうのでした。
ウィックランド博士は語ります。
ご主人は、宗教というものには一切関心が無く、死はすべての終りであると信じ込んでいた。そして、奥さんに対して、もしお前が先に死んだら、オレはあとを追って自殺すると言い、もしオレが先に死んだら、お前も自殺して死んでくれ、などと言っていた。が、奥さんは取り合わなかった。
そのご主人が、ちょっとした病気がもとで、あっさりと死んでしまった。が、死んだあとも奥さんにつきまとい、夜になると起こして、早く死ね!と脅すので、奥さんは寝られなくなってしまった。
自分が置かれている事情が分からないながらも、彼は何か変わったことが起きたらしいことは感じていた。奥さんと自分とを隔てている何ものかを取り除こうと必死だった。そして、しつこく奥さんにこう迫るのだった。
「自殺するんだ!オレのところへ来い!オレはお前がいないとダメなんだ。どうしてもお前が欲しいから、早く死んでくれ!」
この“自殺しろ”の叫び声が昼も夜も耳から離れないので、F・W夫人は身の危険を感じ、自分が発作的に何をしでかすか分からないと案じて、ついにシカゴのわれわれのもとに助けを求めてきたのだった。
(P.470-471)
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このF・W夫人の夫の場合も地縛霊の状態に置かれていることが分かります。彼のような唯物主義者が死後の世界の実在を知らない状態で死んだ場合、地縛霊の状態でさまよっている間に生きている人間に憑依してしまうことがあるのです。彼は自殺した訳ではないのですが、この事例では“死者”がまだ生きている人間に影響を及ぼすことができるという良い例です。
F・W夫人が上記の状況をウィックランド夫妻に相談していたとき、彼女の夫の霊が霊媒であるウィックランド夫人に乗り移りました。正確にはウィックランド夫妻の“霊界側の協力者”が、夫の霊をウィックランド夫人に乗り移させたのでした。夫妻には霊界側に協力者がおり、地上側のウィックランド夫妻と霊界側の協力者とが共同で、彼のように地上圏の霊界でさまよっている地縛霊たちを救済しているのでした。
ウィックランド博士はそのときの様子を次のように続けます。
事情を聞いているうちに、そのご主人が私の妻に乗り移った(霊団が乗り移らせた)。そして、すぐ隣に奥さんがいるのに気づくと、いきなり左手を握って結婚指輪にキスをしてから、オレが何を話しかけても知らん顔をしてるが、オレのことを怒ってるのかと尋ねた。
奥さんが答える余裕もなく、彼は奥さんを抱きしめて、激しくキスをした。その力の強さに耐え切れなくなって、奥さんが金切り声を上げた。
二人を引き離してから、私はご主人に、その身体は自分のものではなく他人のもので、今はもうスピリットの世界の人間になっていることを説明すると、意外に早く理解がいって、そうとは知らずに妻を苦しめたことを詫び、これからスピリットの世界のことを学んで、今度は霊界から妻を援助したい述べた。ニューヨークに戻った奥さんに、その後は、何の異常も起きなくなった。
そしてF・W氏はその後、われわれの背後霊団であるマーシーバンドのメンバーとなって活躍している。
(P.471)
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その後、妻に自殺をそそのかしていた夫は霊界で真実を学び、再びウィックランド博士の交霊会に参加して、私たちに対し霊的な事情に無知であることの危険性を次のように説明しています。
「またまいりました。この度は、私が決して死んでしまったのではないことをお教えしたくてまいりました。そのためには、こうしてウィックランド夫人の身体をお借りしなくてはなりませんが、それ以外の時でも私は、いつもここへ来てお手伝いをしているのです。
まずは、私を救ってくださったお礼を申し述べたいと思います。あのままでしたら、妻とともに大変なことになっていたことでしょう――それも私の愚かさから……。スピリットの世界のすばらしさについての話も、耳を傾ける気になりませんでした。
(…中略…)
私は急死によって、こちらへ来ました。死から覚めるのは、ちょうど睡眠から覚めるのに似ていて、すっかり目覚めてみると、妻が泣いておりました。とても悲しんでいるのですが、私はなぜかが分かりません。自分が死んだことに気づかないのです。妻に声をかけて、いったいどうしたのかと尋ねるのですが、知らん顔をしています。こんなに愛し合っているのに、何があったのだろうと不思議でなりません。妻への思いは募るばかりです。
妻の悲しみの情に、私が同情して抱きしめたりしているうちに、ふと、彼女の磁気オーラの中に入り込んで、そこから出られなくなってしまいました。が、私はそのことに気づきません。ただ、どこかに閉じ込められたみたいで、そこから抜け出ようと、もがきました。彼女ももがき、それが異常な行動となって現れていました。
有り難いことに、マーシーバンドの配慮で、妻はこのサークルに案内されて、私も妻も、ともに解放されました。もしもあのままだったら、二人ともみじめなことになっていたことでしょう。私が死後のことについて何の知識もなく、また知る気もなかったのが、そもそもの不幸のもとでした。
(…中略…)
私と同じような状態で霊界入りする人が大勢います。そういう人は、誰かの磁気オーラにひっかかって離れられなくなり、そのまま憑依状態となります。死後の世界についての基本的な認識があれば、そういう事態にはならずに済むのです。
皆さまには、心からお礼を申し上げたいと思います。今では、かつても私と同じような不幸なスピリットを救ってあげる仕事にたずさわっていて、とても幸せです。妻のことも、背後から導くことができます」
(P.472-476)
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ここで興味深いことが書かれています。それはF・W氏が死んで妻が悲しんでいるときに、彼が妻の磁気オーラに入り込んでしまって出られなくなり、「そこから抜け出ようと、もがきました。彼女ももがき、それが異常な行動となって現れていました」という点です。私たちは誰もが一般的に“オーラ”と呼ばれる生体エネルギー(右図 クリックで拡大)を放散しているのですが、霊がこのオーラに取り憑き人間に影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
しばしば精神病患者が異常な行動を見せるときがありますが、これは霊による憑依が原因で起こる場合があります。上で見たように憑依霊は、“そうとは知らずに”人間に憑依してしまうことがあり、憑依霊がそこから抜け出そうともがく際に、憑依された人が異常な行動をとってしまうときがあるのです。この状態を分かりやすく例えると、車を運転中に複数の運転手がハンドルの取り合いをしているようなもので、当然その車を傍から見れば“異常な運転だ”と思うのと同じです。
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■悪霊によって自殺させられた女性
次に紹介するのは、ある事情で邪霊に身体を乗っ取られて首吊り自殺をさせられてしまった女性のお話です。引き続き『迷える霊との対話』からです。
この女性(X夫人)はウィックランド博士とも面識のあった日曜学校の先生で、二人の子供にも恵まれた幸せな家庭の母親でした。ところがある日突然首吊り自殺をしてしまいます。彼女が自殺してから十年後、ウィックランド夫妻が自宅でくつろいでいるときに、突然その女性の霊がウィックランド夫人に乗り移ります。そして博士とやりとりを交わし、自分は悪霊たちによって自殺させられたのだと語りました。
いろいろと尋ねていくうちに、そのスピリットは、驚いたことに、私の知っている日曜学校の先生で、首を吊って自殺したことを述べた。その時もまだ地上圏にくぎづけにされていて、それまでの地獄のような精神的苦痛を述べ、さらにこう続けた。
「肉体から離れてすぐ、私の愚かな行為の原因が分かりました。私たち一家の幸せな生活を妬む協会関係の人たちの念によって引き寄せられた邪霊の一味が、私のすぐそばに立っていて、うまくいったとばかりに、ほくそえんでいる姿が見えたのです。
なんとかしてもう一度肉体に戻りたいと思いましたが、時すでに遅しでした。その日から今日まで、どれほどの絶望と悔悟の情に苛まれたことでしょう。楽しかった家族は破壊され、夫は生きる勇気と気力を失ってしまいました。子供たちはまだまだ私の世話が必要だったのに!私が近づいて語りかけても、まったく通じません。私は、今日まで薄暗い闇の中で、悶々として過ごすしかありませんでした」
私の説得によって慰めを得て、霊界の事情に目覚めたX夫人は、喜んで高級霊の手引きに従って霊界入りし、心を入れかえて、改めて地上の愛する家族のために役立つ仕事をすると誓ってくれた。
(P.277-278)
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X夫人がウィックランド博士に諭されて霊界入り(成仏)してから数年後、博士のサークル(交霊会)で自殺志向の患者を扱っている際に、突然彼女が戻ってきて自殺した際のより詳しい様子を次のように説明しました。
「あれ以来ずいぶんになります。このたびは自殺を考えておられるこの若い女性に、ひとことご忠告申し上げたいと思ってやってまいりました。
何年も前の話になりますが、私は二人の可愛い子供とやさしい夫に恵まれた、幸せな家庭の主婦でした。私ども夫婦が相性がよくて仲睦まじかったせいか、協会関係の方たちの中にはそれを妬ましく思う人が多くいたようです。
当時の私は、バプテスト派教会に属していたせいもあって、自分が霊感が強いということを知りませんでした。ただひたすら家庭を守ることに専念しておりました。ある日、いつものように明るく夫にキスをして送り出したあと、ふと、誰かにつかまえられたような感じがしたのです。
それからあとのことは何も知りません。何ひとつ知らないのです。何か妙な感じがして、誰かにつかまえられて身動きが取れなくなったところまでは覚えているのですが、それからあと自分がどんなことをしたか、まるで分からないのです。
しばらくして我に帰ってみると、すべてが一変しておりました。目の前で夫が激しく慟哭しているのです。どうしたのだろうと思っているうちに、なんと、私の身体が首を吊ってぶら下がっていることを知ったのです。
ああ!その時の私の苦悶をどう表現したらいいのでしょう!夫は部屋の中でぶら下がっている私の身体の前で、悲嘆に暮れて泣き崩れています。なのに私はどうしてあげることもできませんでした。夫のそばに立ったまま、なんとかしてもう一度その身体の中に戻れればと願いましたが、だめでした。二人の子供も泣きじゃくっています。その二人にも、私は何もしてあげられないのです。
そのうち、何人かの邪悪そうなスピリットがすぐ近くに立って、私たち一家の悲劇のシーンを見つめながらニタニタしているのを見て、やっと事情が分かりました。人の幸せを妬む彼らは、私を霊的に金縛りにし、私の身体に乗り移って自殺させたのです。
(P.279-280)
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さらに自殺を考えている人への忠告を次のように語りました。
死にたい気持ちを抱いておられる方々に申し上げます。どんなことがあっても、それを実行に移してはなりません。みずから死を選んだ時、どれほどの地獄の苦しみが待ちうけているか、人間はご存知ないし、また理解することもできないことでしょう。いったんその肉体から離れてしまうと、二度と戻れません。ということは、地上での義務がそれきり果たせなくなるということです。
子供たちは、自分たちの母親が自殺したという思いを拭うことはできません。夫も子供も私を許してはくれないでしょう。スピリットにそそのかされたとはいえ、苦しむのは私でしかありません。
霊界の法則をお知りになれば、その結果の恐ろしさが分かって、自殺などしなくなるはずです。自分で死のうなどという考えは、棄て去ってください。寿命が来るまで、なんとしてでも、この地上で頑張るのです。私が苦しんだ十年間は、地上に存在しているべき期間でした。本来ならその期間を地上で過ごしてから、こちらへ来るべきだったのです。そうすれば、その間に夫と子供のために私が果たすべき義務を果たすことができたわけです。
私に割り当てられた寿命を全うせずにこちらへ来るべきではなかったのです。それで、十年間にわたって私の目の前から、首を吊った自分の姿が消えなかったのです。そして、その間ずっと、夫と子供が私を必要としていたことを思い知らされたのです。
もう今では、家族がこちらで再会するまで明るく過ごすことができます。子供たちのために、霊界から精いっぱい世話をしてあげることができます。
どうか夫によろしく伝えてください。夫は今でも孤独です。すぐそばにいてあげることはできても、その孤独感を慰めてあげることはできないのです。
では、さようなら」
(P.282-283)
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この女性(X夫人)の体験を読んでいると腑に落ちない部分もあります。なぜこんな不条理な体験をしなければならなかったのか、ということですが、おそらく前世からの負のカルマの清算として、このような体験をする必要があったのかもしれません。あくまでも推測ですが……。
カルマとは“原因と結果の法則”のことです。霊的存在としての私たちは、過去世から現在に至るまで刻一刻と霊的なバランスシート(貸借対照表)の貸し方か借り方のどちらかに行為や思想とその反映の記録を綴り続けています。この霊的なバランスシートは常に平衡を保とうとする力学が働きます。私たちの行為や思想(原因)はそれにふさわしい対価(結果)として自分自身に戻ってくることによりバランスを保つのです。つまり、正のカルマ(善行)は善果として、負のカルマ(悪行)は悪果として原因と結果の平衡を保っており、私たちが日々遭遇する事象も、実は自分自身の過去における正負どちらかのカルマの反映という場合もあるのです。
悪い念というのは恐ろしいもので、それは実際に力を持ち、誰かを不幸にしてしまう可能性があります。しかし、「人をのろわば穴二つ」と言われるように、誰かを呪ったり他人の不幸を願ったりすれば、それは必ず本人にも帰ってきます。ですからそのような感情はできるだけ発しないようにすることが大切です。
前のページの亡霊と先祖霊の事例、そして上記の二例を見て分かることですが、自殺が“外部的要因”によって引き起こされる場合があります。その要因というのが悪霊や地縛霊のような存在からの影響です。いわゆる“霊障”と呼ばれている現象で、彼らは意識的に、また無意識的に地上の生きている人間に自殺するよう働きかけるのです。この影響を受けやすいのはうつなどの精神的な持病を抱える人や、地上での人生に疲れて精神的に弱まっている人などです。また当然、普段から自殺したいと願っている人に対してもそれをけしかけようとします。そのような人たちが発する不穏で陰鬱な想念が悪霊たちを引き寄せるのです。それとは別に、上記の事例で見たX夫人のように霊的感受性の強い人(霊媒体質者)も彼らの影響を受け易くなっていますから、自覚のある方は注意が必要です。世間で心霊的な悪いうわさの立つような場所には立ち入らないことが賢明です。
この類の霊からの影響を受けないためにも、常に精神的な健全性を保つようにしておく必要があります。彼ら悪霊たちは、標的とした人のほんの少しの心の隙をついて自殺させようとするからです。特に悪霊たちにとってはそれが楽しみであり、喜びでもあるのです。地上にも人の不幸を喜ぶ者がいますが、それと同じです。
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トップページ ≫ 自殺者たちの死後3 ≫ 不倫の末に自殺した男性 中絶の罪と罰
■不倫の末に自殺した男性 中絶の罪と罰
次は少し複雑な事情を抱えたまま自殺した人の例です。再び『自殺者が語る死後の世界』からです。
中村昭夫(仮名)さんは妻が癌で入院している間に不倫をしてしまいます。しかもその相手は妻の妹の友子さんで、彼女は中村さんに内緒で中絶までしていました。友子さんにはお見合い話がありましたが二人とも別れるつもりはなく、話し合いの結果心中することにします。二人は心中する場所を探しますがなかなか見つかりません。そうこうしている内に友子さんが交通事故で亡くなってしまうのでした。その後、中村さんは妻への詫びと友子さんへの罪滅ぼしのために自殺を決行しました。以下は招霊された中村さんと中岡氏のやりとりです。
問:ところで、あなたはいま、どんなところにいるのですか?
答:私のいるところですか……、とても怖いところですよ。苦しいです。
小さな子供がいっぱいいます。でも、まともな姿をしている子供はひとりもいません。身体がバラバラになっていたり、頭半分が崩れていたり、両手両足がなかったり、顔半分が割れていたりで、それはひどい姿をしていますよ。そうした子供たちに、私はいつも責められています。ようやく子供たちから逃げられたかと思うと、いつのまにか、背中に白骨の人が乗っているんです。両眼をギョロギョロ光らせた恐ろしい白骨です。怖くて怖くて……
問:いま、あなたは、自殺したことをどう思っていますか?
答:……どうも思っていません。というよりは、なにもわからないんです。ただ、こんな恐ろしいところから早く逃げだしたいと思っているだけです……こんなところへくるんじゃなかった……
問:なにかいいたいことがありますか?
答:ありません。ただ妻に悪かったと思うだけです……
(P.104)
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中村さんも自殺者が行かねばならない苦しみの世界に落とされていることがわかります。しかし少し違うのは子供が出てくることです。
ただ、地獄に子供の霊がいる訳ではありません。あくまでも幻影です。中村さんは醜い姿をした子供の幻影に苦しめられていますが、この理由は中絶にあると思われます。人工妊娠中絶は霊的な視点で見た場合、明らかな罪だからです。中村さんは自殺に対する罰と、不倫相手に中絶させたことに対する罰を受けている訳です。しかし、この地獄で見た子供は幻影でも、中村さんはここを抜け出た後に本物の中絶した子供と再会することになるはずです。
スピリチュアルな事柄に関心のある方はすでにご存知かもしれませんが、かつてイギリスで六十年もの長きに亘り、小さなホームサークル(交霊会)で霊的教訓を語り続けたシルバーバーチという古代霊がいました。彼の霊言は日本でも多く書籍化されていますので、ぜひ一度読まれることをお勧めします。以下の引用はシルバーバーチ霊が列席者の質問(中絶問題)に答えた内容です。『シルバー・バーチの霊訓 第八巻』からです。
続いて妊娠中絶の話題が持ち出されると、同じゲストが尋ねた。
問:それはどの段階からいけないことになるのでしょうか。
答:中絶行為をしたその瞬間からです。
問:妊娠してすぐでもいけないのでしょうか。
答:とにかく中絶の行為がなされた瞬間から、それは間違いを犯したことになります。いいですか、あなたがた人間には生命を創造する力はないのです。あなた方は霊界から地上へ移す役しかしていないのです。その生命の顕現の機会を滅ぼす権利はありません。中絶は殺人と同じです。妊娠の瞬間から霊はその女性の子宮に宿っております。中絶されればその霊は、たとえ未熟でも霊的身体に宿って生き、成長しなければなりません。中絶によって物的表現の媒体を無きものにすることはできても、それに宿っていた霊は滅んでいないのです。霊的胎児のせっかくの自然な生長を阻止したことになるのです。もっとも、これも動機次第で事情が違ってきます。常に動機というものが考慮されるのです。
私の住む世界の高級霊で人工中絶を支持している霊を私は一人も知りません。が、動機を考慮しなければならない特殊な条件というものが必ずあるものです。行為そのものは絶対にいけないことですが……
あなた方が生命をこしらえているのではないのです。したがってその生命が物質界に顕現するための媒体を勝手に滅ぼすべきではありません。もしも中絶を行っている人たちが、それは単に物質を無きものにしたことで済んだ問題ではないこと、いつの日かその人たちはその中絶行為のために地上に誕生できなかった霊と対面させられることになるという事実を知れば、そうした行為はずっと少なくなるものと私は考えております。妊娠の瞬間からそこに一個の霊としての誕生があり、それはけっして死ぬことなく、こちらの世界で生長を続けるのです。
(P.131-132)
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ご存知のとおり、日本における年間の自殺者総数は三万人を超えています。しかし、中絶の件数はその十倍近くにも達しており、こちらも深刻な事態です。このような事態を発生させているのは自殺と同様、私たちがあまりにも霊的な事柄に無知であるためだと思われます。
下線の部分を見れば分かるように、中絶した親は死んで霊界に帰ってからその子と対面しなければならないという事実があるのです。その子は霊界で成長していかなければならず、両親からの愛情を受けられずにいる霊的な孤児と言えます。このような事実を知れば、中絶は親にとっても子供にとっても残酷な事態を発生させてしまう行為であるということが理解していただけると思います。
しかし、シルバーバーチも述べているとおり、この問題の中には“特殊な事情”もあるはずで、一概にだめだと決め付けることができないのもまた事実だと思います。例えば性的暴行や近親姦による妊娠の場合や、妊娠したことによる母体の肉体的生命の危機が発生する場合などが存在するからです。このような場合は中絶の是非を議論する余地はあるとは思いますが、すでに見たとおり、親の自己中心的な理由での中絶は絶対に許されることはありません。
シルバーバーチは「妊娠の瞬間から霊は女性の子宮に宿っている」と語りましたが、より詳しい状況を『霊の書 スピリチュアリズムの真髄 思想編』に参考になる霊界通信があるので引用します。
問:魂が肉体と合体するのはいつでしょうか。
答:受胎の瞬間から結合作用が開始されますが、完了するのは誕生の瞬間です。受胎の瞬間に、その肉体に宿ることになっている霊と受胎した細胞とが流動質の紐でつながります。そのつながりは日を追って緊密になり、出産後の産声によって地上の人間の一人となったことを告げることになります。
問:霊と胎児との結合は受胎の瞬間において確定的なものになるのでしょうか。つまり、結合して間もない頃に霊がその肉体に宿ることを拒否することが出来るのでしょうか。
答:両者の結合は、他の霊には絶対に侵入を許されないという意味において確定的と言えます。しかし、物質的なつながりは脆弱ですから、自ら選択した試練にしり込みして霊が強烈に拒否すれば、そのつながりは切断されます。その場合は胎児は死亡します。
問:胎児との結合が確定的となり、もはや拒否することができなくなった時点で霊が後悔することがありますか。
答:ご質問の意味が、人間となってからその人生に不平を言ったり、生まれてくるんじゃなかったと思うことがあるかということであれば、そういうことはあるでしょう。が、再生する際の人生の選択を間違えたと後悔することがあるかという意味であれば、そういうことはありません。なぜなら、その時点ではすでに霊としてそういう選択をした記憶は消えているからです。いったん再生してしまうと、霊の時代に意識して選択したことは思い出せません。しかし人生の重荷に耐えかねて絶望することはあります。その場合、自殺ということも起こり得ます。
問:受胎から誕生までの期間中に、霊は霊的能力を使用しているのでしょうか。
答:妊娠期間中のさまざまな時点で大なり小なり使用しています。新しい物的身体と結合したといっても、まだ合体するまでには至っていないからです。一般的には受胎の瞬間から意識の混濁が始まり、その時点で自分がいよいよ再生の過程に入ったことを直感します。その混濁は日を追って強まり、分娩に至ります。その期間中の霊の意識状態は睡眠状態に近いと思ってよろしい。分娩が近づくにつれて意識は消え、過去の記憶も消え、それは誕生後もずっと思い出せません。死後霊界に戻ると徐々に記憶が蘇ります。
問:人工中絶はどの段階であっても罪悪でしょうか。
答:神の摂理を犯す行為はすべて罪悪です。母親であろうと誰であろうと、生まれ出るべき胎児の生命を奪う者は必然的に罪を犯したことになります。生まれ出る身体に宿って再生し試練の一生を送るはずだった霊から、そのせっかくの機会を奪ったことになるからです。
問:かりにその母親の生命が出産によって危機にさらされると診断された場合でも、中絶することは罪になるのでしょうか。
答:すでに完成されている人体(母親)を犠牲にするよりも、まだ完成されていない人体(胎児)を犠牲にすべきでしょう。
(P.162-166)
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“再生”というのは生まれ変わりのことです。一般的に、一つの生から次の生へと生まれ変わる間隔は数十年から数百年、長い場合で数千年と人によって幅があるようです。その間は霊界で生活しながら自身の霊的成長を図ります。そしてその必要を感じたとき、次の地上生活での計画を立て地上へ再生します。霊というのは常に活動しており、決してお墓の下で眠っているのではありません。
後半は少し脱線して中絶の問題に入ってしまいました。しかし、自殺にしろ中絶にしろこのような事態が安易に行われる原因は簡単で、ひとえに「私たちが霊的な事柄に無知すぎるため」と言わざるを得ません。
霊や死後の世界の話題はどこかの宗教団体の専売特許ではありません。ごく普通の私たち一人一人の直接的な問題です。なぜなら、誰もが例外なく死ねば霊の世界、霊界へと行かねばならないからです。そこがどのような世界なのかを知り、この世とあの世がどのように関わり合っているのかを知れば、この地上人生をより有意義に送ることができます。
良書紹介のページに霊的知識や霊界の様相を知らせてくれる書籍を紹介してありますので、よければ参考にしてみてください。
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