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■自殺者たちの死後2
では次に、霊界通信で得られた自殺霊からの通信を紹介していきます。これらを読めば、死後の世界(霊界)において自殺がどのような苦悩を生起させるかをある程度認識できると思います。
自殺霊との通信を可能とするのが“霊媒”と呼ばれる特殊な能力をもった人たちの存在で、彼らはこの世とあの世、物質界と霊界とを繋ぐ媒介役を務めます。苦しむ自殺霊たちを一時的に霊媒に乗り移らせ、霊媒の腕を使って筆記させたり発声器官を使って口述させたりします。
その際に大切なことは、正確な通信を受けるには質の高い霊媒が要求されることです。なぜなら、能力の低い霊媒の場合、霊からの通信が正しく伝わらず、間違っていたり脚色されたりする場合があり、最悪の場合は低級霊によってまったくの作り話を吹き込まれる可能性もあるからです。さらに霊媒だけでなく、その霊媒に乗り移った霊と問答を行う審神者(さにわ)と呼ばれる人も必要です。審神者役を務める人にも高い霊性と深い霊的知識、霊的洞察力が必要とされます。
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■理由もなく自殺した少年
前のページでも紹介した、中岡俊哉著『自殺者が語る死後の世界』には、いくつもの“自殺霊からの通信”が収録されています。その中からいくつか紹介していこうと思います。
山田かよ(仮名)さんは、息子の良一君を自殺によって失いました。自殺の動機が見当たらず、原因不明の発作的な自殺として処理されたのですが、母親のかよさんの夢の中に、険しい崖から落ちそうになって苦しそうにしている良一君が一ヶ月続けて出てくるので、「浮かばれてないのでは……」と悩み始めます。その後、近所の人の勧めで霊能者を尋ねることになりました。次の引用はそのときの様子です。
かよさんは、近所の人に連れられて東京に住む霊能者を訪ねた。
「息子さん、とても淋しがっていますね」
かよさんが何もいわないのに、霊能者はかよさんを見ただけで、そういった。
「実は、息子が毎晩、夢に出てきて……」
かよさんは、それまでのことを残らず話した。そして、ご主人が良一君をちゃんとした仏として祀ることに反対して困っていることを強調した。
「自殺した人や心中した人を祀らない風習は、まだかなり根強く残っています。あなたのところだけじゃありませんよ」
霊能者は、かよさんをなぐさめるようにいった。
「良一のいいたいことを聞いてやりたいのです。良一の霊を降ろしてください」
かよさんは、霊能者に、拝むようにして頼んだ。
「わかりました。でも、首吊りをしたんじゃ、うまく話ができるかどうかわかりませんよ……」
霊能者は、かよさんに念を押すようにいうと、助手の身体に良一君の霊を降ろしはじめた。
霊能者は長いことお経と呪文を唱えていたが、やがて助手の身体が激しく揺れ動いた。
「山田良一君の霊ですね。さあ、早くこの人の身体に降りなさい」
霊能者は部屋の片隅に向かって、そういった。
(P.22-23)
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この直後、良一君の霊が助手の身体に降りてくるのですが、霊能者の言ったとおり助手に乗り移った良一君はうまく話せず、大きなうめき声をあげて畳に倒れこんでしまいます。自殺霊の場合、招霊されると自殺直後の苦しみが甦るのでこのような状態になります。そこで霊能者が数珠を持った手で助手の首をさすり「もう大丈夫だから、お母さんと話をしなさい」と言い聞かせました。
「お、お、おか……」
「良ちゃん!」
ようやく良一君の霊は話をはじめた。
かよさんは涙を流しながら、倒れたままの助手の顔に自分の頬を押し当てるようにして、良一君の言葉を聞いた。
「お母さん、お母さん!」
「良ちゃん!お母さんだよ、ここにいるよ、いってごらん、なにがいいたいの?」
「お母さん、ぼく、淋しいよ、とても怖いよ……」
良一君の言葉がだんだんとはっきりしてきて、普通に聞きとれるほどになった。
「良ちゃん、どうして自殺なんかしたのよ!?」
かよさんはいちばん知りたいことを聞いた。
「…………」
だが、それには返事がない。
「お母さん、ぼく、ぼくね……」
いいたいことがいえないのか、良一君の霊は口ごもった。
「良ちゃん、いま、あんたはどんなところにいるの?」
「わからないよ。だって、まわりはまっ暗なんだもの。まるで穴のなかに入っているみたいで、なんにも見えないんだよ……」
(P.25-26)
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かよさんは良一君に自殺の理由を尋ねるのですがなかなか答えてくれません。そこで……
「どうして答えようとしないの。いわなければ、あなたは永遠に不浄霊のままでさまよいつづけなければならないのよ。浮かばれなくてもいいのねっ!」
霊能者が厳しい口調で良一君の霊にそういい、印をむすんだ。
「や、やめて……いうよ、いうよ……」
良一君の霊は、とぎれとぎれの言葉で話しはじめた。
「お母さん、ごめんよ。ぼく、どうしても死ななければならないような理由はなにもなかったんだよ」
「えっ、ほんとう?ほんとうに原因はなかったの?」
「うん……、ただ、なんだか生きているのがつまらないと思っただけなんだ……、つまらないと思ったのは……お父さんを見ていて、ぼくも将来、あんなになるのかなあって思ったら、なんだかつまらなくなって……」
「良ちゃん、それ、ほんとうのことなの?もっとほかになにか原因があったんじゃないの?」
「ほんとうだよ、なにもないよ。お父さんみたいに、ただ、まじめにだけ働いていかなけりゃいけないのかと思っただけなんだ……」
(P.29-30)
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かよさんは良一君の言葉に呆然となりますが、気を取り直して声をかけ続けました。
「良ちゃん、いま、あんたがいるところ、いいところなの?」
「わかんないよう、まっ暗なんだもの。でも、とても怖いよ。見えない変なものがぼくのそばにいっぱいいて、ぼくを狙っているみたいなんだもの……」
「良ちゃん、お母さんになにかしてほしい?いってちょうだい、できることならなんでもしてあげるわ」
「いいよ、なにもしてくれなくて……、でも、ぼく淋しいんだ、帰りたい……」
「え、どこへ?」
「お母さんのところ……、でも、だめなんだよね、ぼく、自殺なんかするんじゃなかった。死後の世界って、とても淋しいし、苦しい、恐ろしいよ……」
(P.30-31)
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この直後、良一君の霊は助手から離れ霊界へと帰ってしまいます。かよさんは霊能者に良一君の現在の状況を尋ね次のように説明されました。
「そうですね、手助けをしてあげなければ浮かばれないでしょう。良一さんの霊は自殺などの不自然死をした霊だけが行かされる無限の深さの谷のようなところへ落とされているのです。落ちるのを止めてあげなければ、いつまでも落ちつづけるでしょう。それは恐ろしい状態ですよ」
(P.31)
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山田さん夫妻は良一君の霊をお寺にお願いして仏として祀ることにし、彼が成仏できるよう毎日手を合わせました。その後、かよさんの夢には良一君は出てこなくなったそうです。とはいえ、夢に出てこなくなったからといって自殺自体が許される訳ではなく、良一君は彼に相応しい霊界の場所へと赴き、少なくとも本来の寿命がくるまでは低い境涯に留め置かれることになると思われます。
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■自殺を繰り返している地縛霊
かよさんに尋ねられた霊能者が、自殺した霊が置かれている状態を説明していましたが、別の霊能者は自殺者の死後の状態を『霊能者 それでも人は霊と共に生きている』の中で次のように解説しています。
では、いったい自殺した魂は、霊界ではどんな状況に置かれているのでしょうか。
まずはっきりと言っておきたいのは、自殺者はかならず地獄に行くということです。地獄の一部に自殺者だけが集まっているところがあるのですが、そこで永遠ともいえる時間のなかを苦しみながら過ごすことになります。
それは生半可な苦しみではありません。たとえば、こんな場面を想像してみてください。
断崖絶壁の上から、はるか下方にある海面を見下ろす人がいます。その人はいま、悩みから逃れるために、「死にたい、死んで楽になりたい」という気持ちでいっぱいですが、飛び込もうかどうしようかと躊躇しています。そして、やっと意を決したかのように目をつぶると、海へと身を投げるのです。海面に当たった衝撃で即死するか、あるいは水を飲んで死ぬかわかりませんが、いずれにしても自殺は成功しました。
ところが、そうやって死んだかと思うと、次の瞬間にまたその人は断崖絶壁の上に立って海を見下ろしているのです。そして飛び込もうかどうしようかと躊躇し、やがて意を決して海へ……。
これを永遠に繰り返すとしたら、あなたはどう思いますか。本人は苦しみから逃れようとして自殺したにもかかわらず、楽になるどころか、いちばん苦しい状況にある自殺決行直前の瞬間まで戻されて、また自殺を繰り返すのです。しかも永遠に……。
もちろん、入水自殺ばかりではありません。薬物による自殺も同じです。悩んで悩んで悩んだ末に薬を飲んで死ぬ。と、またすぐに、悩んで悩んで……というところまで戻されてしまうのです。首吊り自殺もしかり。そして電車などへの飛び込み自殺も然りです。
(P.190-191)
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上記の霊能者は、「自殺者は霊界でも自殺する行為を繰り返して苦しんでいる」と述べています。これは事実で、自殺霊はこの恐怖の循環をいつ終わるとも知れない時間の中で、延々と繰り返している場合もあります。このことを裏付けるような証言が『死後の真相』の中にあるので紹介します。この様子を語っている人は霊視能力のある霊能者で、地縛霊が飛び込み自殺を繰り返し実行している様子を観察しています。
私が川向いの村に行って、夜の十二時頃、帰る途中のことでした。鉄橋に沿った橋を渡って帰ってくると、橋の向こうから十名許りの人影がやって来ます。その連中の格好がどうも変です。遠方から汽車の音が聞えてくると、足をブルブル震わせて、まさに線路に飛び込みそうな格好をしています。私はテッキリ、自殺者だと思って走りよりました。ところがなんと、それは人間ではなくて亡霊なんです。その時、私は妙にゾッとした気持ちになって、私自身も線路に飛び込みたくて仕方がないような衝動にかられました。これは精神感応ですね。あれでは霊的体質者がそこを通ったら、多分引き込まれてしまうでしょう。魔の踏み切りなどといわれるのはこのような所と思います。私がやっと、それに堪えていると、亡霊達は汽車が来ると線路に飛び込み、ギャッというような妙な叫び声をあげました。そうすると手や足や胴体などの千切れたのが飛んで河の中に落ちるのでした。
それから、私は妙に気が落ちついてきて、もっと見学したい気になって、次の汽車の来るまで待っていました。すると同じようにまた例の亡霊達が出て来る。そして中から
「また死ねなかった……」
等と言う声が聞こえるのです。自分が死んでいるのを知らないのですね。私は面白くなったので、夜明け近くまで見ていたのですが、汽車が来る度毎に同じことを繰り返しているのですよ。このように何年も何十年も同じことを繰り返しているのですね。
(P.81-82)
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ここに出てくる亡霊というのが地縛霊(自縛霊)のことです。地縛霊とはその土地に縛り付けられて身動きがとれずにいる霊のことで、その原因を作るのは上で見たような自殺者であったり、死後の世界の存在を信じることのできなかった唯物主義者であったり、あるいはその場所になんらかの執着を持っている死者などの場合です。自殺霊は前のページで見たアンジーのように死後真っ先に地獄、つまり霊界の低階層に落ちていく場合もあれば、上で見たような地縛霊になって地上界に近接している霊界(幽界)で何度も何度も自殺行為を繰り返している場合もあるのです。人の人生がそれぞれ違うように、自殺者がその後に置かれる環境も様々な様相を見せます。
ここで浮かぶ疑問があります。なぜ霊が物質でできている汽車にぶつかってバラバラになるのか、ということです。霊界は想いが現実を作る世界です。「汽車に飛び込めば肉体が破壊される」という想い(先入観)があれば実際に霊体もそのようになります。しかし肉体とは違い、霊体は破壊されバラバラになっても時間が経つと元の姿に復元してしまいます。すでに肉体を脱ぎ捨て霊になっているにもかかわらず、死後の世界が存在するという事実を知らない彼ら地縛霊たちにとっては、身体と意識があるということがまだ地上に生きている証拠だと考えます。ですから意識が消えるまで何度も何度も自殺を実行している訳です。もちろんその際は苦痛を感じることになります。彼らは死に際しての固定観念に縛られ昼夜なく自殺を繰り返しているのです。
下線の部分に注目してください。世間でも「自殺の名所」と呼ばれている場所がありますが、そこでは実際に地縛霊たちが自殺を繰り返している可能性があります。面白半分で近づいたりすることはとても危険ですからやめたほうがよいでしょう。憑依されて自覚のないまま自殺してしまう恐れがあるからです。
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トップページ ≫ 自殺者たちの死後2 ≫ 自殺をそそのかす先祖霊
■自殺をそそのかす先祖霊
上で自殺を繰り返している地縛霊の様子を見ましたが、次に紹介するのは先祖が自殺して身内に不幸をもたらしているケースです。この先祖霊も自分が死んだことが理解できず、地縛霊となり身内に迷惑をかけています。
世間では自殺者を多く出してしまう家系といのがありますが、これは先祖の自殺霊が自分は死んだのだということが理解できておらず、地上圏霊界をさまよっている間に縁ある身内の者に憑依し、その身体を使って再び自殺を図り、結果としてその身内の者を死なせてしまう状態です。
このような事例を萩原玄明著『あなたも自殺しますか?』の中に見ることができます。次の引用は、萩原氏のお寺へ相談に来た母娘の体験談です。
千葉県から七十才にもなる母親と一緒に、心を冒された四十八才の娘さんが私の寺によく見えていました。
この娘さんは子供も三人ある人でしたが、ある日私にこんな訴えをしました。
「先生。私もう怖くて怖くて困っているんです」
「怖いって何が?」
「実は私がいつも秋葉原の駅のホームに立って電車を待っていますと、男の人の声が耳元で騒ぐんです」
「何か言うんですか?」
「はい。ホレ電車が来たぞ。飛び込めよ。ホレ飛び込めよって……それだけじゃなくて、さぁ、来たぞ。俺は前から二輌目に飛び込んだんだ。いいか。それっ!……なんて強い言葉で言うんです。私はもう怖くってホームの柱に掴まって、お母さん、助けて!といつもこのお母さんに助けを求めるんです」
脇にいた母親も、その通りなのですとうなずいていました。
これはもう先祖の自殺霊に間違いはありません。思い当たる人がいないかと私が母娘に尋ねようとするより早く母親が私に言いました。
「先生。実は私の祖父の弟さんが長野県で電車に飛び込んで死んでいるんですよ」
やはりそうかと私は思いました。
「その人だ。自殺したことでもうとっくに死んでいるのだということを、早くその人に教えてあげなければ駄目です。このままにしておいたらこの娘さんが連れて行かれてしまいます」
いや、実際にそうした例はいくつもあるのです。
この母親の大叔父という死者も、やはり、自殺したのに依然自分の意識があるために、ひょっとしたら自分はまだ生きているのではなかろうかと、自分の死を理解できぬままに長い年月を迷い続けていたのです。そして、やっと縁続きに心が冒されて意識の入りやすくなっている娘を見つけ、その娘を使って自分の自殺が本当だったのか試そうとしていたわけです。
(P.51-52)
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もし身内の中に自殺者がおり、上に見たような体験がある方はぜひとも注意が必要です。それは上の事例を見て分かるように、自殺した先祖霊がまだ死を自覚していない場合、縁ある身内に憑依して自殺させてしまう可能性があるからです。さらにそのような危険を解消するために、しっかりとしたお寺や霊能力者に自殺霊の供養・浄霊をしてもらう必要があるかもしれません。また、こちらの質問と回答も参考にしてみてください。
しかし、仮に浄霊が成功して快方に向かったとしても、患者本人に取り憑かれる要素が残っている場合は再び問題を引き起こしてしまう場合もあります。このような地縛霊に取り憑かれるのはそれなりの理由があるからです。上記の事例でも、心の病が原因になって自殺霊に取り憑かれていることが分かります。うつ病などの精神的な持病がある人は霊に取り憑かれ易くなります。ですから浄霊だけでなく、精神状態を健全に保つ努力も必要です。決して一人で問題を抱え込むのではなく、親しい人に相談したり公的機関によるカウンセリングを受けることも時には必要です。自殺願望から遠ざかるには何より心を明るく軽くすることが大切だからです。
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